偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

フェイクスピア

見てきた。

前半の軽快な感じはなんだか久しぶりにワクワクして楽しくてあー好き!!ってなる作品だなぁと思いながら見てた。一生くんがシェイクスピア作品のセリフを言うだけでなんだか楽しくって、イタコじゃないけどキターーーッてなった。橋爪さんのとぼけた感じも相変わらずで楽しくって。

前田さんの舞台でのお芝居は初めて見たけどとても似合ってた。ピーターパンかと思ったけどね!彼女の陰鬱な雰囲気があまり好きじゃないのだけど、あの空気を纏ったまま突き抜ける明るい声でセリフを言うのがなんだかクセになる。


8月と言い始めた時私はすぐに戦争のことを思い出してしまい、すっかりそこから抜けられなくなってその日がなんの日か、佳境に来るまで気付かなかった。8月12日。あの頃の長野県人にとっては忘れられない日のはずなのに。


ボイスレコーダーという台詞を聞いて初めてやっとなんのことか気付いた。

最初ボイスレコーダーの声を聞きながら息子の橋爪さんは頑張れ頑張れーってこんなんで自殺を止められると思ってんの?みたいなことを言うんだよね。

目で見る頑張れは確かになんだか安っぽい。

だけどどんな場面でどんな思いで発した言葉なのかわかってしまうと全く違って聞こえてくる。

墜落のシーンは始めは緊張感と恐怖で身体を固くして見入ってたけど、安全な場所から見てると(コロナ感染のリスクはあるけど)その緊張感も続かず、ちょっと長いなと感じてしまい。ただそのすぐ後に、ああこれがでもリアルな時間なんだと気づいた。あの人たちはボイスレコーダー30分の恐怖の中に飽きることもできずずっといたんだと。おそらくあのシーンを30分もやっていないと思うけど、の長さは必要なんだね。


私が一生くんを舞台で見たのは第三舞台解散公演が初めてでそれっきりで、あの時は若者の代表みたいな役で去っていく第三舞台のおっさんらを見送る役だったけど、なんだか大人になったなーなんて感じた。

そして野田さんは相変わらず軽やかに動き回られる。


この作品は久しぶりにもう一回見たいと思える野田地図だった。

とはいえー!このご時世なのでやめておきます。我慢はしてないけど厳選はしてる。すれ違うだけで感染する変異株を保有されてる方がいるかもしれないと、いつも思って劇場に行く。命をかけてるつもりはないけど、見てみたいものの半分は見てません。