偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

フランケンシュタイン

前回the audienceを見てから楽しみにしていたフランケンシュタイン

どこかで読んだレビューでベネさんは博士の時の方がいいと聞いてまず見に行こうと。

すっっっっっっごい好みのストーリーだった!

そしてステージセットも演出も、音楽も照明も、何もかも好みだーーー!!!

円形っぽいステージは抽象的な壁で囲まれてて上下に隙間があるそこから基本は出入りする。

そして正面も時々開いてレールの上を列車のようなものが通ったりする。

時々現れるセットはわざと転換を見せて天井から降りてきたりアンサンブル?が持ってきたり。

一部屋まるまる降りてきたり、湖の上のデッキも梯子のように上から降りてくる。

床からせり上がってきたフランケンシュタインの部屋はかなりの傾斜が付いていた。

照明は何と言っても印象的なのが、大量の電球で埋め尽くされた照明。

ベース照明のようにずっと付いているわけではなくフラッシュのように使ったりかなり印象的。

最初はクリーチャーのいる膜のようなもの(あれは子宮のイメージだろうな)が置いてあり、その向こうにクリーチャーの影が見える。

最初の1/3ぐらいは産まれたてのクリーチャーが草食動物のようによろめきながら呻きながら立ち上がり、博士に捨てられ、通行人に疎まれ、傷つけられ、一人の視覚障害の老人と出会い、言葉を覚え良い感情を覚える成長記録だった。

このクリーチャーが本当に純粋でチャーミング!!!

雪にはしゃぐ姿はあんなビジュアルなのに本当にかわいらしかった。

でも絶対に息子夫婦には会いたがらないクリーチャー。嫌われるのがわかってたから。

老人はそれでも息子たちを信じ、絶対に大丈夫だからと約束をし、とうとう会うことになる。

けれど案の定息子たちはその姿に怯え嫌悪し、悪魔だと言って追い払ってしまう。

老人はあまりに弱く、クリーチャーを助けることができない。

老人の元でたくさんの知識を得たクリーチャーは復讐をしなくてはいけないと思う。

なんのためらいもなく老人たちの住む家に火を放つクリーチャー。

純粋が故に、マイナスの方向へ迷いなく突き進んでしまうクリーチャーが悲しい。

ようやく最初にチラっと出てきた博士ベネさんの登場。

クリーチャーは博士に会いに来た。

もう人と関わろうとするのはやめよう、その代わり異性のクリーチャーを作って欲しい。

同じ種ならば分かり合え愛し合えるだろうと考えるクリーチャー。

その訴えはやはり純粋で、だからこそ恐ろしい。

最初は拒絶していた博士は、ふいに完璧に美しいfemaleのクリーチャーを生み出すことに惹きつけられ承諾する。

いよいよ完成という時になってクリーチャーが現れ、博士は多分してしまったことの重大さに気づいたんだろう。

愛とは何かを問い、その答えが純粋で切実であったからこそ、何もかも顧みず突き進んでしまうクリーチャーの恐ろしさを見た。そして彼を騙し完成間近のクリーチャーを破壊してしまう。

もし彼女がお前を気に入らなかったら?

この世でたった一人の仲間に拒絶されたら?

そうはならない可能性にかけることはしなかった博士は最悪の事態を回避しようとしたんだろう。

けれどクリーチャーの怒りはあまりに大きく、絶望はあまりに深く、彼の伴侶となった人を凌辱し殺してしまう。

その人は、その人だけはクリーチャーの姿を見ても受け入れてくれた人だったのに。

最初の老人にしても彼女にしても、クリーチャーはそれまでの想いを完全に無視して復讐に向かってしまう。

それこそが博士が恐れたところなんだろう。

しかし同じく博士の怒りも絶望も深かった。

一生を使って追い詰めると、二人の奇妙な旅が始まる。

どのくらい経ったのか・・・真冬の北の地で今にも死が迎えにきそうな博士の姿。

クリーチャーがからかうように煽るが全く反応がない。

その時初めてクリーチャーはこの自分を生み出し拒否した人こそが今唯一自分を受け入れてくれる人だと気づく。

置いていかないでくれとなくクリーチャーがあまりに切なくて・・・。

舞台では二人の旅はまだ続くのだけど、近い未来にクリーチャーは一人残される。

そのあとどうなったんだろう??

逆バージョンは見るつもりはなかったけど、これは見たい。

どうしてもクリーチャーに感情移入してしまうので。

ベネさんバージョンでもこんなにチャーミングで切なくて身勝手で悲しいクリーチャーなのかな。