やられた。
はっしーの繊細な芝居に。
ふみきゅんの安心な芝居に。
さなの多才さに。
これ見てるのと見ないのと、今後の彼らを見る上で確実に違う、そういう分岐点になるお芝居だった。こういう分岐点をたくさん見逃してきた私としては見れたことをとても大切に思う。
思えばえび座初演であんまりな脚本と、それには見合わないほどセンスの光るはっしーのお芝居が残念でならなかったんだけど、その思いが成仏されたような気がした。やっとちゃんとしたお芝居で思う存分お芝居ができたんだなぁって。
ふみきゅんはただもうひたすらにかっこよくて。もちろん元々見目麗しい人だけど、ちゃんとお芝居でかっこよくなってるの。ちょっとワイルドな雰囲気で、立ち上げた髪のせいもあるけどベルナルドやれる!って思っちゃった。
さなは、正直看守長のときはそんなに好きじゃなかった。でもあれもやっぱり脚本なのかな?いいお芝居に出ればいいお芝居をするんだね。普通の人、狂った人、いろんな役をやってたけど、一番よかったのは最後の囚人。嘘ついてニコニコしてる人が嫌いって言ってたあの子。すっごく魅力的な子だった。オドオドしてるのに攻撃的で。カッとなって我を忘れるのにハッと気付いて平謝り。一人の人の中で波がある役を自然にしかも魅力たっぷりに演じてた。
共演者たちも安心だったしね。前とは違う。
「あの音」を求める歌が優しくてすごく素敵だった。何度も歌われる曲。
優しくも歌うし、狂気の中でも歌う。
キクは早々に壊れてそして生きる力を得た人だった。キクは危険なものを知ってる。
ハシはジワジワと壊れていった。警戒心がないのは大胆だからじゃなくてわからないから。
もしかしたら根本的なところで自分を大事と思わないから警戒しないもかもしれない。
自傷行為的な衝動もそういうことなのかも。
二人とも別々のところで壊れ、犯罪者となり、そして生き残った。
東京を爆破するのは不幸なことか、幸福なことか。
社会的にどうかはわからない。東京を爆破する=どういう意味なのかもわからない。
ただラストシーンの3人は生き生きとしてたなと思う。