偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

二月花形歌舞伎

会場がテアトル銀座ってことでどんな感じになるのか??と思ってましたが

提灯を下げて、桟敷席もちゃんとあって、花道は壁沿いだったけどそれなりに♪

劇場自体はとっても見やすくてよかったです。

椅子もいいしね。

生まれ変わったら歌舞伎座の座席も快適になるかな?

見切れ席も減ってくれるとよいのだけども。

さて。

夜の部の女殺油地獄を見てきました。

殺しモノなんておもしろいのかなーと思いつつ、それに通しで見るのも初めてなのでどうかな?と思いましたが面白かったです!!

やっぱり染さんはああいう役がはまるなぁ!

前半は、遊んでばっかりで働かない油屋の息子がどっか憎めない。

けんかして川に落ちて?取っ組み合い。

うちでも親とケンカになって両親を叩くは病気の妹も叩くわ。。

その勝手気ままっぷりがとってもキュート☆

義理父の話を聞かずに寝ころがってほおづえ付いて足をパタパタ。

勘当されて追い出されてバシッと障子を叩き締めた後障子紙と桟を破って顔出して。

子供っぽくてしょうもない感じがまだ愛嬌があるのが前半。

後半の客席を通って客いじりしたり大喜利したりも楽しかったです。

凄い近くを通ったのでマジマジと見つめてしまいましたわーー[emoji:i-178]

警備のおにいさんに絡んでました(笑)

好きな人とかけて嫌いな人と解く どっちも「はなしたくない」

よへいっち♪

と楽しいシーンもあるのだけど、同業の油屋にお金を工面してもらおうと与兵衛が訪ねようとすると義理の父親がやってきて油屋のおかみさんに与兵衛がきたら渡してやってとお金を預けて。

そこへ今度は母親もやって来る。

母親も店からお金を盗んで与兵衛に渡そうと訪ねてくるのです。

勘当したものの、やっぱり心配で甘やかしてしまう親心。

与兵衛は物陰に隠れて様子を見て涙するのですが、私ももちろん涙T_T

また母親の秀太郎さんがよくってねーー。泣けました。

母親が盗んだお金のことを言わずに去ろうとすると床に落としてしまうのだけど、そっからがすごいよかった。

女将さんのお吉に落ちてたことにしましょうって言われて「じゃあこのちまきも」には笑い泣き。

そしてあの有名な修羅場です!

この演目は見たことないけど写真ではインパクトあって覚えてます。

わたし歌舞伎の「暗闇」のシーンがけっこう好きなんですが、これは暗闇な上に油まみれ。

ぬるぬるつるつる滑って転んでの大立ち回りが見応えありました。

油を分けてくれと与兵衛が頼んでお吉が与兵衛に背を向けてからの与兵衛がすごい。

殺すしかないとなって隙を狙う表情、一刺しした後執拗に追いかける姿、殺してしまってブルブルと震えがとまらない姿。

大江戸りびんぐでっとをちょっぴり思い出しましたね。

あれはくさや屋ですけども。

ちょっと調べたらだいたいここで終わるみたいですがこの後、人を殺しておいてまた気楽に遊んだり、お吉の三十五日供養に行ってみたりけっこうなトンデモ神経っぷりを描いてます。

最後はついにお縄になるんですが、妻を殺されてワナワナしている油屋のだんな、弟の放蕩ぶりをみかけていたけど最後は弟を庇おうとする兄に向かってニヤリと笑う。

前半のどこか憎めない放蕩息子から一転、ホントにどうしようもない男だと思わされる後半。

派手なシーンで終わらせず、敢えてそこまで見せたようですね。

美味しいどこ取りのいつもの大歌舞伎も楽しいけど、たまにはこういうのもいいですね。