私好みのストーリーだった。
悪い友達にそそのかされ身を破滅に向かわせるドリアン。
友達はあくまでスマートで、決してやり過ぎたりしない知恵と経験がある。だけどドリアンはピュア過ぎて欲望のままあらゆる悪事に手を染める。
チェンバロを弾くドリアンの周りで官能的なダンス…というより行為そのものを繰り広げるアンサンブル達。その真ん中に恍惚とした表情で身体を揺らし天を仰ぎメロディーを奏でるドリアン。
退廃した耽美の極み。
こんなの日本人では優馬くんじゃなきゃできないのではないか。他の誰もこの説得力を持てないんじゃないかと思う。
ドリアンは悪の限りを尽くしたけど、ただ幼くて人の影響を受けやすいピュアな人間なのだ。
ずる賢さはせいぜい阿片窟で弟に見せた、あれくらいなのだ。美しくて愚かな人間なのだ。
最後のヘンリーとのシーンはまるで風と木の詩のジルベールみたいで。
仲田くんもやはり美しくて、姉を異常なほど愛する狂気に説得力がある雰囲気と風貌をそなえていた。
出番は少なかったけど、インパクトは与えたんじゃないかな。
シヴィルという女は、私にはドリアンと同じく失望させられたな。
女優でいる彼女を心から愛した気持ちはオタクと一緒だから。あなたが何よりも輝く時間を丸ごと捨ててしまったのだから。あんなこと私の好きな人たちにされたらたまらない。耐えられない。
ドリアンの怒りは当然だと思ったし、それに気付かない、むしろそうなってしまったことを喜んでるシヴィルはなんてバカな女だろう!と思った。
お芝居を空っぽなんて!!
ふざけんなよ!!
と。
なんだかあのシーンにはオタク心をギュウギュウされたなぁ。ドリアンがかわいそうすぎた。
原作を読んでみようかなと思った。
翻訳物苦手なんだけど。