偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

ビリーエリオット2020

海流の安定したお芝居はもしかして1番演技指導に忠実なのかなと思った。いつも変わらなかった。大袈裟過ぎず足りなくもなく、ちょうどの感情が伝わるお芝居。

でもその分アングリーで爆発するからあの激しさに説得力がある。むしろあの爆発のために、坪井さんのインタビューにあったように一つ一つのセリフに決められた意図がありその通りに演じることを求めてるんじゃ?と疑いたくなるほどこの強弱がはっきりしてるビリーだ。自由にやりたい、オリジナリティを出したいというもどかしさを全部アングリーで爆発されられるような、そんな密かな意図があるのでは。

初参加のダブルキャストたちのクオリティの高さが、やっぱり初演が特別!という気持ちをさらっていったと思う。どの方もとにかく滑舌が良くて初めて聞いた台詞みたいに感じたり。とにかく新鮮で再演にふさわしいキャストたち。この人達が参加してくれてよかった。

橋本父ちゃんの怖い親父感と不器用な愛情、そして何よりしっかりセリフを伝えられる技術が素晴らしい。古いフォークソングをあんなにキッチリ聞かせるなんて。上手いからこそ、ちゃんと歌うからこそ、涙で歌えなくなるあのシーンがグッときた。

オーディションシーンのコミカルさは益岡父ちゃんとは全く違うタイプなのに同じくらいおかしくて。

阿知波おばあちゃんの、"戻らない素面に"の1回めの冷たい顔と、2回めの、ビリーの方を向いてニッコリ笑ってから歌うあの対比が好き。辛い毎日で叶うならやり直したいそんな気持ちと、こんな人生でもビリーに巡り合えた幸せは手放せない気持ちがハッキリと感じられる。

安蘭ウィルキンソン先生は初めて見た時あまりにしっくりきて、衝撃的だった。宝塚でキラキラしていたであろうスターの醸し出す場末感がすごい。歌も素晴らしいし迫力満点で、柚希さんとは全く違うところが魅力で。どちらに当たっても別々の楽しみがあり、ビリーを見るのと近い感覚になった。それぞれがインタビューで語ってたウィルキンソン先生像とはピッタリなんだけど解釈が2人とも違ってて、どっちでもいいんだ、というのが本当に面白いし、この舞台の良さでもある。

トニーはビリーライブの雰囲気に似ていて、少し懐かしさがあった。ごつめの体格がいかにも炭鉱夫っぽいし、荒っぽい雰囲気もピッタリ!そのくせなんだかんだビリーに優しいの、たまらんよね。中河内トニーはかなり曲者なので、その点でもノーマルトニーの存在はありがたい。(曲者も好きだけど)

オールダービリーは大貫くんのオタクっぷりが好き過ぎて、冷静に見られないんだけど、スコティッシュダンサーのシーンは面白かった。あと何と言ってもカテコのウインクよ!!ズッキュン♡

このご時世で、もう無理なんじゃないかと思った時もあったけど、公演ができて本当に本当に良かった。

ただ後半、人も増えてかなりルールを守れない人が増えたことはとても残念。大体関係者自ら喋りまくってて酷かったし。

2週間経過するまで終わらないよ。

この間に感染者が出たらまず間違いなく疑われます。それをみんな肝に銘じて欲しい。水を差すようだけど差すよ、緊急事態だもの。

大阪公演が万が一にもキャンセルなんてことにならないように、慎重にやって欲しいものです。毅然とした態度を関係者各位にもお願いしたい。