偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

リリーのすべて

見てきた。

エディの顔って何か物言いだけだなぁと思う。

何か隠してそう、何か言葉や行動には表せない秘密がありそう、そんな含みのある表情をしてるので、モデルをするために女装するシーンでの短い間に自分の中のリリーに気付くお芝居がとても説得力があった。

何が切ないって、ヘンリクに女性として扱われたと思っていた後のヘンリクの家でのシーン。

あれ、ものすごく傷ついただろうなと思う。あまりの痛々しさに見てて辛かった。ただその後、そんな彼と友情を築くのはいいよね。数少ない理解者。でも幼馴染の友達も、ハンスだっけ?、友人2人って言ってくれるのね。リリーとアイナー。

大切な妻を含め、理解をしてくれる人はいる。

もう1つ切なくてボロボロ泣いてしまったのが、のぞき小屋?で一生懸命女性らしい仕草を学ぶシーン。あればあかんよ。窓の向こうの女性も何かに気付いて、そして見逃してくれるんだよね。変なヤツって逃げてもいいはずなのに。何か切実さを感じたんだろうな、と思う。

コッソリ劇場だかに忍び込んで鏡の前で全裸になるシーンも痛々しいんだよなぁ。

もうどうにもリリーを隠しようがないアイナーが、その異質さを嗅ぎつけられて殴られるのも辛い。異質さを見逃してくれない人もいる。

しかし、そんなリリーを見てると、私は果たして女か?と思ってしまうんだよね。

最近こういうものをよく見るからか、自分をなんの努力もなく疑問も持たず女だと思ってる自分が不思議になる。

ひとさまの感想を聞いて。

2回目の手術前に号泣してたのは、私は、過去の自分が死んでしまうこと、男性として生きた自分を殺すこと、に対しての涙だと思う。ゲルダを愛してる(愛した)自分も他人ではなく自分。それを否定してしまうような気持ちになったのかな、と。自分の大切な過去をなかったことにしなくちゃいけないなんてやっぱり辛いでしょ。と思う。

真っ直ぐに、リリーになることに迷わなかった彼が見せた迷い。どの一瞬の過去も自分なんだと気付いたんじゃないかな。でも両方は選べなかった。

自分の過去との死別。