偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

カラボス/カラドック

追加するなんて全く考えてなかったのに4公演予想を外しまくって、どうしてもカラボス/カラドックを見たくて急遽追加することに。お友達のおかげでいいお席で見ることができました!

全く新しい世界が開けた。

こんなにも懐が深い舞台だとは。

カラボス。

シルエットで出てきた時点であまりの麗しさに声が出そうになった。

そして奥のベルトコンベアに登場。手下に鞭打ち走らせるカラボスのナチュラルボーンクイーン感、すごかった。

あんなにあでやかで気高く気品に溢れる美しい人を見たことがない。

センターにいることがあまりにも自然で。高貴なレディというのが一目でわかるオーラ。立ち姿。

そして彼女は絶世の美女だった。

私が知ったカラボスとは見るからに邪悪な女で、憎々しく、無礼な王を断固許さない容赦のなさを備えた妖精だった。

でもリアムのカラボスは全く別モノ。

誰もが惹かれてしまうような美しさと気高さを持つ女性がたまたま邪悪な力を持っていたというだけ。

どこにもいないような圧倒するような美貌と同時に深い愛情をもつひと。

オーロラへの愛情は最初のシルエットのシーンからも明らかで、お祝いの席に呼ばれなかった彼女は自ら出向き、オーロラを優しい目で見つめ微笑みを浮かべまるで迎えに来たみたい!

バラのトゲが刺さって死ぬ呪いなんてかけるようにはとても思えないの。何か理由があるんだと思う。

手下の二人にも深い愛を見せ、本当に愛おしそうに撫でていて。

「うちのニャンコ」を溺愛する友人たちを思い出してしまった。

オーロラの部屋で呪いをかけ、それを阻止しに戻ったライラックと対峙するシーン。

威嚇しつつドレスを翻して舞い踊るカラボスの美しいことと言ったら!!

そしてライラックと背を向けあっての決めポーズの時に、リアムカラドックったらふいにものすごく切ない表情をするの。

・・・この二人のただならぬ雰囲気はなに?

恋?そんな言葉が浮かぶくらいの気配を感じるの。不思議と。絶対過去になんかあったよね??

そんなカラボスは、あっけなく字幕によって死を知らされる。あっけなく。

カラボスに恋した私の気持ちはどうしたらいい?

ただ泣くしかできない私。なんの涙かわかんない。

悲しいとか切ないとかじゃなくてもうただの恋わずらいだよね、多分。

カラドック。

こちらもやはり全然別物で、一言で言えばエレガント!

髪をまとめた黒いリボンがお似合いすぎるリアム。細身の体にまとった衣装の隅々から高貴さが溢れてて。

どなたかのレポで、紅茶が似合う方がリアム、っていうのがあったけどまさにその通りで。

丁寧にスプーンでかき回し、じっくり味わっていたよ。

カラドックはオーロラに一目惚れしてるようなんだけど、やっぱりこの辺りも感情が複雑で。

惚れてしまった相手に100年の眠りの呪いをかけてしまうのは、母の敵討ちでもあるけど(カラボスに報告するかのように笑顔を見せるので)、レオとの仲に嫉妬したからかもしれない。レオを置いて100年後の世界で共に生きようとしたのではないかと。

悲しいかな、カラドックのキスではオーロラは目覚めない。

マスケルさんのカラドックは加減を知らない怪物が人間を扱うように乱暴(それでいて切なかった)だったけど、リアムカラドックはとにかくジェントルマン。ひたすら優しい。

そして婚礼の日。

仲間たちとダンスを楽しんでいよいよ死の儀式、という時にライラックがまたも阻止。

カラボスにとっては特別な存在(に見えた)ライラックも、カラドックには邪魔な存在。

けどカラドックはあっさりとやられてしまう・・・きっとオーロラに気が向きすぎたんだろう。

オーロラに夢中で周りが見えていなかったか。

悶絶しのたうち回り、結局死を迎えたんだろうか?

掲げられた体がパタパタと羽を広げて羽ばたいていて、もしかしたら命は永らえて、けれど人の姿を維持できる力は失って夜のコウモリとして永遠に生きていくんだろうか、なんて考えた。

本当、今日見ておいて、見に行けて、リアムがカラボス/カラドックをやる日でよかった。

友達がそそのかしてくれなかったら見てなかった。

こんなにもマシュー作品を深いものにしてくれたのは間違いなくリアムのおかげ。

そしてリアムにカラボス/カラドックという挑戦をさせてくれてありがとう!マシュー!