野田版鼠小僧を見てきた。
すっごく面白くてまた後悔が一つ増えてしまったよ。。。
棺桶屋の三太が、自分が貰えるかもしれなかった相続分を赤の他人に奪われて取り返そうとする。
が、間違って姪の嫁入り先に盗みに入ってしまい、捕まりそうになって逃げ回ってるうちに
屋根の上から小判をバラまいてしまい、鼠小僧と間違われ三太はそのまま泥棒稼業へ。
バラまいた小判をひたすら回収する日々。
やがて、相続分の小判を見つけ取り返そうとするが、とうとう捕まってしまう。
って書くとなんだかつまらないけど、小悪党がいっぱい出てきてホント笑った笑った!
まずね、棺桶屋の三太(当時の勘九郎)が日々死にそうな人を探して営業しまくる!
やけにやつれた若者、ヨロヨロの老人が出てきてせっせと失礼な営業。
大きい棺桶の方が高いから太ってから死んでくれとか、ほんと酷いの。
子供の貰ったお年玉を脅かして落とさせて回収したり、とにかくがめつい!
人に施しをすると死んでしまう体らしい^^;
で、そこへ婚礼支度をした姪っ子とその母がやってくる。
が、実は叔父が亡くなってその葬式もやらなくちゃいけない。
三太は稼げる!と思って喜ぶんだけど、実はその親子も負けじとセコくてがめつい。
親戚なんだからタダでやれと要求してくる。
で、この姪っ子が七之助なんだけど、その振り切った芝居がおかしくって!!
私、歌舞伎ではわりとお嬢さんな七之助しか知らないからこんなコメディセンスがあったなんて!
七之助の癖のある声好きなんだけど、あの声で金!金!と騒ぎ、遺!言!状!と叫び、一番おかしかったのは立ち回りも激しいんだけど女形お得意の海老反りを一瞬にして反る!戻る!っていう動きをしたのが爆笑だった。
言葉で説明しても伝わんないけど。
身体能力もスゴくて、それで笑わせるってダンサーの域だよっ!!
それから町の人から貞操の鑑と思われている福助扮するお高と、実はそのお高を囲ってる江戸町奉行大岡忠相、そして三太たちを騙して遺産を手に入れた橋之助扮する與吉が間男と、そしてその屋敷に盗みに入った三太と、4者入り乱れての誤摩化し合い、隠れ合いが本当におもしろい!
でもただ面白おかしいだけじゃないところがいいんだよね。
盗みを続ける途中で、三太と同じ名前の子供に出逢い、その子は鼠小僧が小判を降らせてくれるのをずっと待ってる。
その健気な姿にほだされて、人に施しをしてやろうなんて思ってしまったら本当に命を落としてしまう。
小判を降らせることは叶わず、けれど朝日に光る雪が小判みたいにきらきらと子供三太の上に降る。。
これね、セットの絵柄もそうなんだけど、小判を降らせる約束を果たそうとした日が12月24日。
鼠小僧こと三太=サンタクロースっていうまぁそういうお話なんだけど、初演って夏だよね?っていう。
最初っから死ぬだのなんだのって台詞が多くて、チクチクしたけど、最後もいっぱい笑った後、もう本当に二度と見れないんだなあと思って悲しくなっちゃった。
けどさ、こういうふうにまだ言いたくないんだけどスピリットはきっと受け継がれてるよね?
もっともっと色んなことやってほしかったけど、たくさん残してくれた人だったのだなぁ。