偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

The Red Shoes

リアムのいない回を見て、シンプルに舞台そのものを楽しめたので感想を。

まず映画にとても忠実だった。映画はとてもファンタジーな世界で、ヘアメイクはとても作り込んでいてリアルさとは真逆の雰囲気だったのだけど、それをそっくりそのまま舞台に持ってきた感じ。

話の流れも基本的には忠実で、独特の解釈というのはほぼない。Irinaの降板理由ぐらいかなぁ?細かいけど遅刻魔だってことも表現されてた!映画のストーリーから違和感なく見れる感じ。

かといってオリジナリティが全くないわけではなく、NAらしさなのかなーと思ったのがバカンスのシーンと、半ば追い出されたビッキーが所属するマイナーバレエ団での公演のシーン。どちらも面白くてだいぶウケてた。

シマシマのレトロな水着を着たダンサーがビーチボールを使って踊ったり、男性が女性をリフトして泳いでる表現をしたり。

とても楽しいシーン♫

サーはガッツポーズ好きなんだね!筋肉キレてます!!

マイナーバレエ団の公演シーンは、エジプトの壁画っぽいビジュアルの2人組がかなりコミカルな(そして壁画っぽい)ダンスをしてて大受け!!めちゃ面白かった。そのあとビッキー達も踊るんだけど、振付師?指揮者?の態度が投げやりでやる気なさそーなバレエ団。

興味あったのは劇中劇のThe Red Shoes。どう表現するのかなーと。

真っ白な何も飾りのないセットの中で踊り始め、アンサンブルは喪服風、時々出てくる映像やセットは全部モノクロ。

Ivan役と恋仲っぽいが、赤い靴の魔力に吸い寄せられ履いてしまうと、踊りながらとうとうはぐれ。途中、突然の宇宙空間?みたいな感じになって、多分そこが赤い靴を履いた少女の幸せの頂点。そこからは止まらない踊る足に翻弄される。季節が変わるのか猛吹雪の中。最後に踊り疲れて死んでしまうのは映画の通りかな?

これ、最後ビッキーが再びバレエ団に帰ってきて再演するという時にまたこのシーンになるんだけど、映画では幕が上がる前に楽屋から逃げ、機関車の前に飛び出して轢かれるので開演してしまった舞台上でIvanが1人で踊るというシーンがちょっとだけある。

のですがNAバージョンでは靴屋のポジションにボリフ、恋人のポジションにジュリアンが入って同じ踊りをするの。

最初の公演シーンでも靴屋と恋人が主人公を奪い合うようなシーンがあって、リンクしてる。これはうまいなーと思った。2人の元で揺れるビッキーを表してる。

個人的にIvanが悲しそうに1人で踊る映画版好きだけど、舞台でそれを最後のシーンに持ってくるとやっぱりうまくいかない気がするんだよね。映画には映画らしい情緒ってのがあって、生の舞台にハマらないこともあるから。

だからNAバージョンのエンディングは正解だと思うし、代わりにこのシーンが入るのも正解だと思う。これは実際の公演ではなくてビッキーの頭の中の世界でのこと。両者に引き裂かれる思いをThe Red Shoesの演目の中で表現して、実際には(ストーリーの中の現実ね)映画と同じように幕が上がる前に逃げ出してしまう。

幕の向こうに汽車がいたら笑っちゃうだろうなーと思って見てたクライマックス、実際その通り汽車が出てきたら不覚にも涙が。2回見てもやっぱり泣けてしまった。

あとジュリアンのダメ男ぶり、最初気づいてなかったけど寝室でのシーンがそうなんだね。スーツケースの中から赤いトゥシューズを取り出して踊るビッキーを止め、結局自ら脱がせスーツケースに戻したあとスーツケースを閉めてベッドの脇に置くのはジュリアン。封印させたのはジュリアン。一度はビッキーはジュリアンを振り切って行くのだけどね…。

あと好きなシーンがビッキーとボリス2人で踊るところ。The Red Shoesの主役に抜擢された後に2人が踊るんだけど、ボリスは必要以上にビッキーに触れないの。それがダンサーとしてじゃなく主宰の立場でビッキーを踊らせてるという感じが伝わってとてもいい。

そして最後はスポットライトのあたる場所へビッキーを抱えて連れて行くの。こことってもいい!好き!

初回はリアムに気を取られ、それはそれで楽しかったけど舞台そのものの魅力を理解したのはリアムのいない回だった。

これを踏まえて最後、リアムのいるThe Red Shoesを堪能しようと思います!