初寺山作品です。
とっても濃密で猥雑、重苦しい舞台でした。
近くで見るじゅんくんは息が止まりそうなほど美しかったです。
ビジュアルだけじゃなくて存在感がもうキラキラとスパークしてて怪我しそうなくらい。
ピッタリの役でした。
小出くんも元々割と好きな役者さんだったけど、すごくよかったです。
切なさはどれもこれも小出くんのシーン。
巨大な欲望を抱えて何かやってやりたい!とギラギラと生命力に満ちたチンピラのような男と
愛したいし愛されたいと思いながらも吃音で他人とコミュニケーションが取れない、内側に向かって爆発しそうな男
この2人がボクシングジムで出逢い友情を交わしていく。
私はもっとこの2人の関係を見ていたかったな。
どうやら原作ではかなりこの部分が書かれているようだけど、舞台では語りあうのはほんの1シーン。
バリカンがボクシングのトレーニングをしながら、何度か笑顔を見せる、それがたまらなかった。
新次はいつもギラギラ外に向かって爆発していて、意識しなくても目が行くのだけど、だからこそバリカンの姿をじっと追ってしまう。
あんなに1人の役に集中することもなかなかない。
最後の試合、スローモーションになってからの独白がすごくよかった。
受けたパンチの数を数えながら結局殴り合うことで得られると思ったものに到達できたんだろうか?
できていたら殴り返せていたんじゃないかな。
2人がだんだんと汗だくになって、仕舞いには流れるような汗でのスローモーション。
その過程が美しくて切なかったです。
何度も見れる状況じゃないけど、なんだか1回でお腹いっぱい。
役者ってスゴいな、と思いました。