偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

2016歌舞伎

いつものオープニング、ああ、いないよ、いないんだよ、とは思ったのだけどすぐにそのことは気にならなくなった。なぜかというとすのー達が6人一緒ではなくバラけて大我やジェシー達と踊ってたから。それがとてもよかった。

すのーが自分達の公演をやらずに(やらせてもらえずに)歌舞伎に出続ける意味…と思ったものがここにある!と思った。これは刺激になるな、と。

それでオープニングですでに昂ぶってしまい、増やすか!!の勢い。からの健くんソロです。

圧倒された。

いつも佐久間くんに望むことは圧倒されたいということ。早くも序盤でこんなにも圧倒されるとは!

これ見たら帰ってもいいくらい、めちゃくちゃによかった。

そして隣の林くんも!

江田くん抜けて余裕〜と思ってた私にいきなりこれ?どっちも見たくて見ようとしてアワアワ。

ここでスッカリ満足、そして消耗してしまったので、歌舞伎とは?な内容だったり1幕の新作がイマイチだったことはもう対してマイナスにはならなかった。そんなことどーでもいいじゃん!って境地。

そして2幕。鼠をやるってなった一昨年から望んでたこと。ねずみやるなら1幕使ってちゃんと芝居にしてほしい。それが叶っちゃった。

笑いあり涙なしがいいかどうかはわからないし正直脚本も見せ方も来年に期待と言う感じではあるんだけど、やることに意味があると思う。歌舞伎っぽくはなかったけど、それでもちゃんと物語を組み立てて、ちゃんと台詞があって。なんでもヒーローに仕立てたがるのはどうなのかなとは思うけど、滝が主演ならしょうがないかな。勘三郎さんのような、しょうもない盗人が出来心でいいことしちゃった、みたいなお話好きとしてはね。でもあの野田版も親子の話だし嫌いじゃないでしょう?

配役もよかった。嫌われ者で実力もないのに怒鳴ってばかりのダメダメ親方を岩本君、バカ殿さくまくん、おまるちゃんふっか。偉そうに怒鳴ってばっかの奉行所お偉いさん(役がよくわかってない)に宮ちゃん。渡辺くんと阿部くんは町の人。おしゃべりな感じとにこやかなキャラは二人に合ってる。敢えてかっこいい役じゃない5人と町の人気者おまる。滝じゃないとこうはできないよね。まあ完全にたきすの劇場になってて他の人は後藤くんわんこ以外影が薄かったけどもね。

少なくても3年はやってほしいね。もうちょっと他の子たちの使い方もこなれてくるだろうし、おまるやあの兄弟も無理なく情のお芝居に持っていけるようになりそうだし。ストーリーももう少し整理されて、なんかグッと来ないまま終わっちゃうエンディングをどうにかできそう。

そう。まだ全然いけてはないんだけど、先が期待できる2幕だった。出来上がりきってない分、まだよくなる余白がたくさんある。

1幕については。

テンション上がったのは鈴ヶ森みたいな暗闇のシーン。滝好みの面白い場面だし、次はもうちょっと本気のを見たい。歌舞伎っぽくていいね!

蝶はちょっと意味がわからなかったので、もうちょっとストーリーを組み立ててほしいね。今すぐにということではなくて来年。ってか鶴よかったのにな。毎年ポンポン変えるんじゃなくて、ブラッシュアップの時間も欲しい。もうちょっとじっくりパフォーマンスの精度を上げてくことも考えてほしいな。それこそがこの公演のよさだったんだから。

宮ちゃんの殺陣の太鼓。これはすごすぎて全く殺陣を見れてません!舞台下手に釘付け!!相当な楽器を一人で操ってた。こういうの!こういうお稽古を積んでこそ、この舞台に出る価値がある。

それで言ったら林くんの怪談も最高だった。一人芝居。あるいは読み聞かせ。落語みたいなもんか。声を存分に活かしたいい配役だったな。

あとお歌もね。4人というより2人とコーラスみたいな感じでう~んと思ってたら後半待望のソロパートが来て満足!こうじゃないとね。こうじゃないと一人だけ歌舞伎に残った意味がない。私は意味を求めるよ、とっても貪欲に。いつでもステップアップのための経験であってほしい。だって彼らはデビューしてないんだから。現状のクオリティを維持するようなやり方は望んでない。はず。本人も。

唯一の不満。セグウェイはない。あれだけは認めない。どんだけ練習したか知らないけどあなたたちは踊りなさいよ。躍らせなさいよ。何やってるの。これいつまでやるの?早く降りて踊ってよ。

私はアクロバットですら踊る時間が減るから多すぎるのは嫌なのに(できる子がいるのにないのも嫌!)。本人たちは楽しいかもしれないけど、そんな練習するんだったらもっと歌舞伎らしいアクションを練習してお披露目してほしい。