偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

エンタメ初めはモダンスイマーズ

だからビリーは東京でを見てきた。始まる前配布されてた1枚紙のパンフレットを読んで、え?ビリーってビリーエリオットだったの?!と衝撃。そういや蓬莱さんが見にきてたとのツイートを見たような見てないような。

ビリー見て衝撃受けて役者になる!と決意した大学生と劇団の話。オーディションが2017年11月なんですよ、夏にビリー見て3か月ってとこか。なんかいいね!その行動力!感動した勢い感じるわーと楽しくなってしまった。私も映画館で泣き腫らして、3ヶ月後ロンドンに飛んだわと、懐かしくなった。


優しい話を書いたというのを最初は気にしつつ見てたのだけど、難解な脚本を書く、観客も少なそうな弱小劇団って時点でなんだか優しくない。作家が書けないとグダグダしつつもなんとか公演を企画するも1人が辞めると言い出して頓挫。

この辞めるくだりも、なんつーかヒリヒリ痛くて全然優しくなかったなー。でも私も知ってる。どんな経験も身になる、ことはなくすり減るだけだからさっさと辞めるべきということがあることを!


そしてそのままコロナ禍へ…。

コロナの話題を避けられないのはこういうお芝居だから余計仕方ないと思うけど、まだ渦中にいる時にまた一からあの苛立ちや不安を追体験させられるのはなかなかに苦痛だった。オンラインのミーティングで、当然安全が大事=芝居は打てないと考える人と、だってこれが役者の生き様でしょという人。人の命を危険に晒してまで守る生き様なのか??そんなこと、散々言われてきたんでしょうね。


そんなこんなで優しくないなって思っていたところにふるちんさん演じる進のクズ発言キターーー!!!!いつもの展開にホッとしちゃった。ホントクズだなと思うのだけど、本当に結婚したいの?俺と??って問いがまた鋭くてさ。モダンだわーってなった。あの2人結婚してもまあなんとかやっていけそうだけど、でも本当にそれ望んでますか?って言う。それを聞かずに結婚して不幸せではないけどモヤモヤを抱えて生きてる人居そうだな。なんて。


そしてまさかまさか、あんなに最後までビリーの話を引っ張ると思わなかった。入団の同期でサラッと触れられるだけかと思ったビリーエリオットの話が途中何度も出てきてしまいには!ビックリ!あれ聞いて笑う日が来ると思わなかった。いや泣き笑い?!


りんたろうくんがビリーの話をするたびにストーリーと私がビリーに受けた感銘と、色々甦りつつなので、りんたろうくんの人生変えちゃった件とか泣いてしまうし、りんたろうくんとビリーの違いについて自分はビリーじゃない現実を突きつけられるりんたろうくんに泣いてしまうし、ビリーがロンドンに出たあとどうなったのか?成功して欲しい、ビリーにできなきゃ誰にもできないみたいな台詞とか、あーこれハチクロかも知れない。非凡と凡人の超えられない壁か。


終演後のトークも面白かった。役者に限らずだけど、人のなぜその職業を選んだか?って話はとても面白い。りんたろうくんの役の子は子供の頃から舞台に関わってたそうだけど、サボれる部活だの、美大生活の行き詰まりだの、テレビで見た役者の芝居が下手だっただの、なんかキッカケってどこに転がってるかわからないよね。それが一生…かどうかまだわからないけど学生卒業してからの人生で1番時間を費やすものになるなんてね。


追記


人様の感想を読んでいてなるほど!!と思ったのは、劇団員側がビリーでいうところの炭鉱夫なのだという捉え方。あれは確かに送り出すということになるなぁと、ストーリー全体でもビリーのような構造になってるのだなと感心した。


あと劇作家のりんたろうくんへのセリフとか、確かに優しさのある舞台なのかも…と人様のツイートを見て納得した。私は優しさレーダーがあまり機能しないみたいだ。


ビリーオタの方々が何人か内容に惹かれてチケットを買っているようでなんだか嬉しい。関係なく良い舞台なのだけど、ビリー好きとしてはりんたろくうんの熱い想いはなかなかにキュンとするので楽しんで欲しい!