偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

蒼天の宴

待望の和物で和服で刀使っての(←重要)殺陣ありしかもダブル主演。アンサンブルじゃないにしても妖怪の方の1人かなぁぐらいに思ってたからびっくりした!

事務所で長かったといえどずっと内部でやってて外部の舞台に立つようになったのなんてここ数年なのに。しかもあの界隈では全くの新人。

と思ったけど、室くんもいるしもしかしたら何かで関わったことのある役者さんやスタッフさんはいるのかもなぁなんて後から思った。やはり天下のJ、Jr.とはいえ業界ではメジャーな世界にいるのかもしれない。


さて舞台。

ひとことで言うと、ストーリーは対して面白さはないけれどとにかく立ち回りがタップリで見応えあって、結果満足しちゃうやつでした。


ストーリーは新撰組と妖怪の戦いに悪意の第三者が絡んでるというもの。妖怪はかつての人間でみな殺されたらしく人間に恨みを持っている。で暴れるもんだから幕府の風化委員?新撰組はやっつけたい。その敵対を利用して土佐の武市さんは以蔵ちゃんを引き連れて京都にやってくる。そんな中新撰組は内輪揉めで何となく組の雰囲気が悪い。


というあらすじはまあ別に良いも悪いもないのだけど。

細かいところでは女性キャラの扱いが典型的に何だかなというところもあり、鬼の副長は赤鬼をペット扱いだし、そう扱われるのに泣いて喜ぶ(1人じゃなくなったからというのはあるが)とか、古臭いなーとは思う。

後やっぱり突然に脈絡なく日替わりネタをやられるのも全然面白くないしストーリーの邪魔なんだけど何でみんな好きかな。

メロドラマっぽい展開もちょっと辛い。山南さんくらいお芝居に説得力あるとグッと引き込まれてしまうけど難易度高いのではないかなーなんて。


けどね、こんなの吹っ飛ばすぐらいに絵が良いのよねええええ。困った!

妖怪達のビジュアルがまず良い。キャラクターも様々でまた良い。百鬼夜行のシーンの、狭い舞台の上に数の迫力で居並ぶ絵面がまたまた良い。

それでみんなちゃんと殺陣ができるんだからそりゃ楽しくなっちゃう!特に以蔵さんは今まで見たことない小回りの効いた立ち回りで、ほとんど刀を垂直に立てた状態でやるのよ。敵をその距離まで引き付けて斬るもんだから、あの人買ったと思ったままやられたよね?みたいな。それでまた以蔵ちゃんのキャラクターが切なくていいんだー。役者さんの愛嬌のある雰囲気にもはまってるんだよね。

以蔵ちゃんに限らず役者さんとキャラクターの親和性が高いというか、それが演技力なのかしら。私は個人的に座敷童子が視線泥棒で参った。メイクも良いのだけど表情と声は何だか強気なのに行動が小心者なところがたまらない。


新撰組の方はややメロドラマ過ぎるところはあるんだけど、みんな殺陣も上手いし、あと顔が良いということだけに限らずなんかビジュアルが良いのよね。バランスがいい。


室くんは存在は知ってたけど何かで見たことはなくて、あんな愛嬌のある人だとは知らなかった。役にぴったり!話をつい聞いちゃう、そんな感じ。江田くんに笑われてたけど発声がはっぽーびじんの武田さん思い出すような裏返った高音で嫌いじゃない。当然動けるしね。


江田くんはもう期待通りで懐かしさに震えたね。こういうのずーっと待ってた。半蔵様でさえ、きちんと役名とキャラクターをもらえたのは嬉しかったけどそのせいで出番がぐんっと減って、足りないーってずっと思ってたから。あの頃の敵役は今よりずっとその他キャラ扱いだったもんな…。

だけど土方さんのキャラが好きになれなくて。まあもちろん技量によるところもあるんだろうけど、典型的な独りよがりのトップって感じででも実はうちに秘めてる悲しみと想い人。

赤鬼に対する態度もなーんか奴隷扱いで、珍しいワンコ拾ったみたいな愛らしさがないだよな。梅ちゃんとの関係もお前甘えすぎ!なところはあるけど赤鬼との関係があまり好きではなかった。鬼にも敬意をだよ、親になるというほど思い入れるなら。

だけどラストの方の、以蔵ちゃん妖怪を斬るシーンは好きだった。これもありがちっちゃありがちなのだけど、長年の友の竜馬に斬らせず止めて、代わりに斬る。ホロッときてしまった。


ところどころ思い出す舞台が浮かんだのだけど、山南妖怪の、みんな妖怪にして平等に平和な世界を作るみたいな宣言聞いて、それはリトショ?ダンスオブバンパイア?最後にはみーんな妖怪?とか、亡骸抱いて江田くん泣いてるシーンあったな、とか。(のべつか?)

どうも友人に言わせるとかなりきめつっぽかったらしいけど!


脚本書き直してーとか思ったけど、なんかそれも望みすぎなような気がしてしまう、こんな何もかも期待したことを叶える役を掴んだなんて、見たくてずっと待ってたものをモリモリで見せてくれて、チョロいファンかもしれないけど嬉しかった。おめでとう!