偏食観劇屋

色々見たい、偏ったエンタメファン

スローターハウス

見てきた。

原くんがどんどん良い役者になっていく…そしていつも良い作品に出てるなぁ。

 

殺人犯と被害者家族の対話がメインのストーリー。犯人から受け取った手紙を読んでまたやるのでは?と思った被害者の母親が止めなくては!と尋ねてくる。

与えられた時間は1時間。

どこかでも明言されてたけど結末のないストーリーだった。どうなるの?の着地はない。そこまで行きつかない。でもとても良い終わり方だった。それであなたはどう感じるの?は見せてもらえないんだけども、変わることも変わらないことも難しいような投げかけだから。

個人的な体験を色々と思い出す舞台だった。障がいのある人、とりわけ知的障がいのある方々は、ある時期とても身近な存在だったので。それに本当に重度の方々にも研修でお会いしたことがあって。彼らの存在はある意味衝撃的だったから、どんな風であれ、何か影響を受けること自体はとてもわかる。

役者さん達がみな達者でセットもごくシンプル、音楽もない、色もほぼない、そんな空間でもぐいぐい引き込まれた。

個人的にヘビの話がすごいなと思った。ヘビが嫌い脚がないのに進むから、でも脚がなくても進めるってすごくない?優れてない?同じじゃない?障がい者が優れてるってこと??

のくだり、わからないものを恐れるということが詰まってた。

 

あと生産性の話も。世の中の価値が生産性があるかないかだけって、本当に短絡的だなぁと感じた。生産性のないものってみんな結構好きじゃん?単なる物事の一面でしかないのにね。ということを改めて感じさせる舞台。

 

それから障がいカーストというワードも衝撃的だった。だけど上位にいるって軽度ってことなの??とも思ったり。あなたの方が重くて大変ねーの上から目線は全然理解できないけど、こちとら重度も重度、会話どころが発語ゼロだし笑うこともなし!やってられねーという重さマウントなら理解できる。努力次第で就職できたり何かを成し遂げたりできるような程度ですかと、そんな生活ありえない、が本音。

 

原くんは最初は恐ろしく淡々と喋ってて、施設での語りのシーンになると目をカッと見開いて瞬きもせず停止してて、静かなる迫力があった。後半会話がヒートアップすると声を荒げたりもするのだけどどんな声でもきちんと伝わる技術がある。

需要あるよなぁと感慨深くなった。